散文と中文

神戸市外大中国学科卒業。復旦大学国際交流学院留学。中国語と中国と共に生きる自称エッセイスト。

演劇:赖声川《暗恋桃花源》を観る

今日は赖声川監督の《暗恋桃花源》を観に行きました。
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劇場は徐家汇にあるデパートの中に入っていて、どうやら赖声川自らが2015年に設計したようですが、がやがやした中に突如として黒を基調としたシックな空間が現れたので入るときは気が引き締まる気持ちになります。
規模は600人ほど収容できるくらいで、主に彼が監督を務める作品ばかりを公演しているので、日本で言うと四季劇場や宝塚のような感じでしょうか。

こちらから劇場の概要が見れます。http://www.theatreabove.com/site/


《暗恋桃花源》は去年、わたしたち神戸市外大中国語劇団が扱った作品です。

今年で初公演から30周年を迎えたため、この時期に、劇の舞台にもなっている上海でまた公演を行うことになったのでしょう。

まさか留学中に生で見れるとは思わなかった。まちがいなく上海に来てよかったと思えることの一つです。

 

ここから関係者向けになりますがご了承ください。

役者の皆さんはマイクをつけているので声を張る必要がなく演技が非常に自然でした。
でも、外国人だから下手な発音もたくさんあるかもしれないけど、必死さや体を張ってお芝居している気迫のようなものは絶対に私たちのほうが勝っていると思いました笑
いまだにみんなの演技やせりふの言い回しが脳裏に焼きついていてすごく恋しくなりました。去年のあの劇はあの配役で、あの裏方じゃないと成り立たなかった。

 
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今回のお芝居では左右に英語字幕がつけられていたのですが、改行やフォントやいわゆる“見やすさ”なんてこれっぽっちも気にしていないようだったし(なぜ文字が黒字背景に赤色なんだろう?)、
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最後の江夫妻の抱擁シーンには陰をつくる照明なんてなかった。ブランコと桃の木の背景と桜の花吹雪はさすがにわたしたちには無理だったけど…笑

 

袁老板はイケメンで将来有望な男優のようなポジションで、逆に老陶が桃花源の監督のような感じです。
江太太は劇中劇のときに完全に台湾の方言で、云之凡の標準語との対比が印象的でした。(特に台北病院で之凡があらわれるところ)

江宾柳が「我已经写好了一叠信给你」というせりふがあるのですが、あがっている動画などで量詞dieをめちゃめちゃ強調しているんですよね。
これ練習のときからなんでなん?って問題になっていたのですが今回もやっぱりそうでした。特別な意味があるのか、それともそうやって読むものなのか?

あ、ちなみに順子はやる気があんまりなくて声のトーンがすごく低い、日本語で言う草食系男子っぽい感じでした笑
でもおいしいとこだけちょこちょこ出てくるとてもいい役です。たくさんせりふ削られたけどわたしは彼を演じられてよかったです。
去年の語劇では人数不足で削られた副監督や小林もいい味を出していました。

袁老板と順子の掛け合いはやっぱり中国人には馬鹿受けしていて、中国語でのおもしろさやネタ要素を日本語に翻訳する難しさを痛感したところです。
監督の台湾方言を江宾柳普通語で言い直して確認する場面もあったのですが、そこも受けていました。英語字幕を確認している中国人もいました。それくらい方言の違いは大きいです。

 

物販のオリジナルTシャツや会場の壁には両劇団のセリフが書きしるしてあったのですが、暗恋バージョンが「这些年,你有没有想过我?」で、桃花源バージョンが「时间愉悦的过去了」「放轻松放轻松放轻松」でした。暗恋に対して桃花源はチョイスそれでよかったのか?!って思ってしまいましたが(笑)

 
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あとは中国人の鑑賞マナーとして、わずかですが観劇中にWechatしたり写真を撮っている人がいて、あんまりよくはないかなあと思ってしまいました…

 

 

久しぶりにお芝居を見てやっぱりあの雰囲気がだいすきだなあと思いました。お金のかかる、たまにしか楽しむことのできない趣味です。


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