散文と中文

神戸市外大中国学科卒業。復旦大学国際交流学院留学。中国語と中国と共に生きる自称エッセイスト。

旅行:会いたいひとに会うはじめての東南アジア

四月末に复旦大学の留学生旅行があったのですが、軽度の社会不適合者なのでその旅行には参加せず、東南アジアに行ってきました。目的は、マレーシアとタイに留学中の、わたしが尊敬してやまない先輩と高校の同級生がいたからです。名付けて「2017 会いたいひとに会うはじめての東南アジア」。

その国のことをよく理解しているひとに案内してもらって、普通の旅行では絶対に知ることができなかったことをたくさん知ることができました。副題は「大人の修学旅行」です。笑

以下、おもしろかったことと、わたしが留学している中国との比較を書き連ねます。どうかお付き合いください。

 

 【マレーシア】4/21~26

六日間、マレーシアのことに非常に詳しいとある先輩に案内してもらいました。尊敬する大好きな先輩で以前から気にかけてくださっていたのですが、今回の旅行では本当に本当にお世話になりました。

 

マレーシアは、小さな小さな国の中にインド系、中華系、マレー系と三つの民族がいっしょに住んでいて、地域ごとに住み分けが行われています。つまり、一つの家はインド系のひとが住んでいて隣の家には中華系が住んでいるというのではなく、ある程度ここのエリアは中華系で、ここのエリアはインド系で、というふうに分かれています。政党の支持も民族ごとになっています。 

そのことによって、たとえばエリアごとに食べられるご飯が違ったり、家の作り方が違ったり、モスクがあったりします。

イスラム教で豚肉とお酒を飲むことが禁じられているので、ムスリムのひとが住んでいるところでは、レストランには一切お酒は置いておらず、鶏肉がメインです。

 

・お酒

マレーシアは人口の60%がイスラム教徒なのでお酒を飲むことができず、物価に比べて酒税が高い。アルコール度数によって酒税が変わる。外でお酒を飲みたい場合は華僑系レストランや外国人向けのバーやカフェなどに行く。

・人にぶつかったときの対応の違い

マレーシア:絶対に謝る。多民族国家のため、それぞれがなるべく争いを起こさないように時を使っている。

中国:あやまらないこともある。前にわたしが前の人の靴を踏んでしまったとき、後ろすら振り向かれなかった。人が多すぎるのかなと思います。

・外見の違い

日照時間の違いによって平均身長が違うのは研究で明らかにされているみたいなのですが、マレーシアにいる人たちは確かにあんまり大きい人はいませんでした。マレー人は顔が小さめで、みんな二重で目がくりくりで本当にかわいかった。ヒジャーブをつけているから余計に顔だけの印象がはっきりしているのですが、美人さんが多く、男性も精悍な顔立ちをしている人が多かったです。マレー人の顔立ち大好きです。

・対日感情

マレーシアもタイも共通していることなのですが、基本的には親日だと思います。「経済援助など、お金をくれるから大好き」なんだそうです。伊勢丹があって中には日本のハイブランドのものがたくさんおいてあったけど、どのくらい買う人がいるのかはよく分からない。それ以外の感情としては、遠すぎてあんまり興味はないんじゃないかと思います。

・空港にて

入国審査は“ASEAN”という列と“その他外国人”という列に分けられていました。ASEANのほかの国から来ている労働者は手続きに少し時間がかかるため、手続きの早い旅行などで来ている外国人と分けられているそうです。

 

 

【タイ】4/26-29

高校まで北海道にいたのですが、高校時代の同級生で仙台の大学に進学した尊敬する同級生が、休学してトビタテで日本語教育インターン?とタイ語を学ぶためにタイに留学しています。タイでは今が夏真っ盛りであまりにも暑すぎたということと、短い滞在時間だったために観光しつくしたとはいえませんが、それでも久しぶりに会う友人といろいろな話をできた三日間でした。

タイに部屋を借りて一人暮らしをしている友人なのですが、クオリティ・オブ・ライフがわたしの1000倍くらい高くて復旦大学での寮生活が悲しくなりました。ううう

 

ことばを学ぶということ

ことばを専門にしている同士で、ことばについていろいろ話しました。

ことばの能力というのは潜在的で先天的もののようでもあり、顕在的で後天的なものなんだと思います。タイの日本人街にある古本屋でたくさんの日本の小説を買って読んだという友人は、もとからことばの能力がすごく高い人なのですが、たくさんの本を読んだことは彼女のことばの能力の向上に役立ったと言っていました。

みんなが言っている当たり前のことだけど、結局のところ、外国語を話す、書くときにはやはり母語の力がかなり関係してくるのだということを痛感します。表現の仕方は違うにせよ母語で表現の幅をもっていないと外国語学習は難しいなと思います。

このブログも、わたしの母語の力を向上することとインプットしたものをアウトプットすることを目標としています。

彼女を見習って、わたしもこの休学留学という人生最後の夏休み(現実は全くそのようなものではない)を使って本を読みたいです。がんばります。

 

タイ古式マッサージ

旅行最終日、Sukhumvitというところにある日本人街でタイ古式マッサージを受けてきました。2時間全身500バーツでだいたい1500円ちょっとです。安い。おばちゃんたちは微妙に日本語を話せて、メニューもすべて日本語で、しかも明朗会計でした。体勢について指示するとき「アオムケ」「ヨコ」と片言の日本語を使ってくれるので問題はありません。気持ちよすぎて爆睡してしまったのですが、最後腰を思いっきり回されて「いたたたたったたっ」と言うと「ボキボキ」「イタイ」と声をかけられました。あと、「ネムイ」と聞かれた(?)。疑問符がなくて1Q84のふかえりみたいな話しかたをするタイのおばちゃん、いとしい。

慢性だった腰痛がちょっとよくなった気がします。ありがとう。

・“駐妻”

案内してくれた友人が駐在員の奥さんのことを「駐妻」と言っていて、本人たちの前では「奥様がた」と呼ぶと言っていたのも合わせてつぼでした。“駐妻”はやはりタイ語への意識もそこまで高いわけではないらしく、年齢のせいもあって覚えもよくはないみたいです。

海外駐在する配偶者を持つことも大変だけど、お金を出して勉強しにきている学生からしたら本当にうらやましくもずるく思えてなりません。笑

しあわせそう

マレーシアもタイも共通することですが、この旅行を経て、中国はやっぱり がつがつしていてお金を稼ぐことに本当に目がなかったりプライドが高いなあと思いました。マレーシアのひとが「いや~、マレーシアは小さい国だからねえ~」と言っていたり、昼間や日曜日の夜遅くになっても外でお酒を飲んだり(大体は華人)、タイ人にとっての幸せは自分の好きなことをして家族といっしょに暮らしていくことだということを聞いていて、日本にも中国にもほとんどない考え方が、東南アジアにはあるんじゃないかなあと思いました。

 

 終わり。

海外旅行は初めてではないけど、東南アジアへの旅行、留学中ということで海外から海外への移動、そして一回の旅行で国をまたぐことなどはじめてのことがたくさんあった旅行でした。

いくつになっても初めてのことが経験できるというのは非常に幸せなことだと思います。

この旅行を通して、肩肘張ってた自分を少しだけ解放することができました。みんながみんなではないかもしれないけど、わたしが印象に受けた東南アジアのひとたちのように、楽しく人生を過ごすことができればいいと思います。

今まではほとんど海外といえば中国しか知らなくてバカの一つ覚えのように中国大好き中国最高と言っていたけれど、現実はそうでもなくて、生まれた国である日本、留学先の中国、そして第三国である東南アジアを比較することで中国の悪いところも、改めてすごいなと思ったこともたくさん見えました。

 

いい旅行でした。

お世話になった先輩と友人に感謝です。

わたしは引き続き、上海で頑張りたいと思います。