散文と中文

神戸市外大中国学科卒業。復旦大学国際交流学院留学。中国語と中国と共に生きる自称エッセイスト。

インバウンド旅行会社・なんでもやりますプレイング社長の秋のつぶやき

日々の業務と現在の状況

日々楽しくWeChatに張り付いて過ごしております。ほぼすべての顧客情報が入っているため、いつか私のWeChatがBANされることが一番怖いです。

最近は、第三種旅行業ということで北海道をメインに各地のオーダーメイドツアーを手配しています。紅葉の関西もぼちぼち受注しつつ、なんと法然上人二十五霊場霊場巡りの案件も受注しています。あとは冬の北海道。ハイヤーだけ手配もあるし、まるっと手配も。

今はまだいろいろなお客様がいて、毎日4~5万円のomakaseディナーを予約するようなハイエンドから、ほっこりご家族旅行まで。さすがにごりごり価格競争のツアーは中国人の会社にはかなわないのでやっていません。もう少しターゲティングをしぼるべきなのはわかっているのだけど、今年はまだちょっと様子見。 最近は本当にいろいろな新しい発見があって、自分で仕事をするということは本当に楽しいことだなと思います。

北京大学での学びと考察

北京大学在学中に「ブランドマネジメント」という授業を受講したことが、自社「寒茜」のブランド定位を本格的に考える契機となった。授業の最終発表で、あるグループが「人群ブランド(People Brand)」という概念を紹介した。ブランドには「カテゴリー型ブランド」と「人群型ブランド」があり、前者が商品や市場を中心に据えるのに対し、後者は特定の人々の価値観や共感を軸にブランドを形成するという考え方である。旅行業においても「人と人とのつながり」「人と地域との関係」こそが最も重要であると感じた。

大学で知り合ったカザフスタンの留学生の日本一人旅(2週間)をお手伝いした。その過程で、インバウンドの長距離の個人旅行がいかに難しいかを痛感した。特に交通の乗り換え(富士山にどうやって行くの?とか、バスとか)や文化の壁が大きなハードルであり、この経験を通じて日本で外国人旅行者が自由旅行をする際の課題をより深く理解することができた。

京都大学観光MBAでの研究と考察

京都大学観光MBAでは、「DMCDestination Management/Monetize Company)」の概念を研究している。自分の理解では、DMCとは「地域に根ざした旅行会社」である。日本では、政府主導のDMO(観光地域法人)が地域観光の企画を担っているが、旅行業免許を持たないため実際の商品販売はできない。理想的な構造は、DMOが全体戦略を担当し、DMCが具体的な商品販売とサービス提供を担う形である。

一方で、「観光」と「地方創生」がしばしば一体的に語られることに、一定の迷いも感じている。自分自身も当初は、地元の北海道当別町が好きで、より多くの中国人に訪れてもらいたいと考えていた。しかし、実際に2月と8月に友人やパートナー会社を招いて意見を聞いたところ、観光地としての知名度が低い地域をプロモーションする難しさを実感したし、まだまだ現実的にはこれまで受けたツアーの多くが当別以外の地域である。北海道には魅力的な都市が多く、地元への貢献にはまだ長い道のりがあると感じている。

自分にとっての「旅行」とは

私は「omakase旅行」が好きである。行程を他人に任せるスタイルだ。これは、多くの中国人の友人が私をローカルな場所へ案内してくれた経験の影響が大きいと思う。その結果、自分にとっての旅行とは「現地の人の日常を体験し、偶然の出会いを楽しむこと」だと気づいた。

旅行とは、観光地を巡って写真を撮る行為ではなく、「人との出会いを通じて別の生き方を体験すること」である。
そして私にとって旅行の目的の多くは、「会いたい人に会いに行くこと」である。将来的には、「北海道に中国語ができるHimikoがいる、会いに行きたい」と思ってもらえるような、人を中心とした旅行ブランドをつくりたい。属人的でもいいじゃない、と今は思っている。

実務を通じての課題と考察

観光業は外から見るよりもはるかに難しい。細かい調整もあるし、顧客によって重視する点が異なり、価格を重視する者もいれば、体験価値を重視する者もいる。同じツアーでも、友人同士で参加する場合、「お金の価値」に対する感覚が違えば、調整は容易ではない。

また、近年では中国人が日本でグレーゾーンの旅行会社を設立するケースも見られる。観光業が儲かると誤解されているためだろう。しかし、正規の登録や地域知識が求められるこの業界は、決して容易なものではない。誠実で正当な運営を続けることこそが、最も基本であり最も重要であると感じている。

年末年始は、友人の紹介でニセコのアテンドの仕事が入っている。結局通訳案内士を取らないままだが、最初は自分でガイドをすることでお客様のニーズがわかるだろうと思っている。

最近はターゲット設定の難しさも痛感している。若い世代の一人旅や二人旅は、専用車より自由を重視する傾向が強い。ハイヤーコスパが悪いし、乗り換えアプリも使いこなせる。彼らが求めているのは予約代行ではなく、旅の企画や助言であるなと思う。

また、中国で人気の「農家民宿(農家乐)」や「自然教育」の概念は、当別町の発展方向としても相性が良いと思っている。

熊の出没や天候の変化など、不確実性に対応する危機管理の重要性も痛感している。
さらに、多くの旅行者が出発の1か月前に予約する傾向にあるが、理想的には半年前から動き始めるべきだと考えている。その方がホテルも安く、より良い体験を提供できる。

業務を重ねる中で、「中国語ができる日本人」という点が強みとして認識されつつあるが、それだけでは差別化が難しいと感じている。今後は「中国語ができる日本の旅行専門家」として、より専門的で深い知識を持つブランドを確立していきたい。

情報発信とブランド構築

常に「寒茜」というブランドについて考えている。ブランドマネジメントの授業で学んだ「人群ブランド」の概念を通じて、旅行ブランドとは「人と地域の関係性を表現するもの」であると感じるようになった。今後は「人と文化を中心とした旅行商品」を開発し、将来的には地域を象徴するオリジナルのお土産も企画したいと考えている。

ただし、情報発信には課題も多い。小紅書(RED)のアカウントが三度停止され、現在は個人名義での再開を検討している。いろんな人からブロガーとしてちゃんと個人IPを打ち立てたほうがいいよと言われていて、日本旅行のTipsや日中文化、自分自身の考えを発信したい思いは強いが、継続が難しい。社会人1年目にブロガーを目指して挫折した経験があるため、今回はより持続可能な方法を模索している。できれば来年度からやりたい。

今後の方向性と自己理解

最近、中国の友人に「あなたは方向性を定めるのは得意だが、細かい実務が苦手」と指摘された。別の友人にも「Himikoは大きなビジョンは強いが、小さなことが抜けがち」と言われ、少しショックを受けた。

まだ人を雇う段階ではないが、来年には一部業務を外注化することを検討している。そうすることで日々の雑務から解放され、より本質的な仕事に集中できると考えている。

北京大学での学び、京都大学での研究を経て、「人と地域を中心に据えた旅行ブランドをつくる」という自分の軸が明確になった。
「寒茜」が、旅行を通じて人が地域を知り、自分自身を知ることができるブランドとなることを目指している。