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中国語暦四年目の上海留学

2017/2-2018/1復旦大学文化社会班。中国とわたしのあれこれ

161206 三年目の語劇が終わりました

三年目の語劇が終わりました。あっけなく老害に成り下がった一人の語劇人として長文を書きました。偏った意見なので不快に思う人がいるかと思います。先に、謝罪しておきます。

文字通り二時間舞台に出ずっぱりだった去年とは打って変わって、今年は幹部として主に広告、チケット関連業務、対外交渉、飲み会幹事、広報活動と微力ながら演技・発音指導、本番のQ出し、そしてわずかだが役者としても舞台にも上がらせてもらった。

2016年中国語劇は、私が語劇にのめりこむきっかけとなった4人の偉大な先輩たち、戦友であり続けた同期、毎日楽しみながらも真摯に語劇に向き合う後輩たちと一緒に、中国でたいへん有名であり長い間公演されている『暗恋桃花源』という台本を扱うことができ、台本選びや劇団員集めに奔走した四月、あるいは一年前の語劇が終わって今年も続けることを決めた瞬間から、本当に充実した一年だったと思う。

個人的な意見ではあるが、神戸外大の語劇制度の問題点や改善すべき点に関して言及して、三年間の語劇生活の終止符を打つことにする。

今年で67回目となる語劇祭は、いつからなのかはわからないがまったく演劇についての専門知識がない審査員(各団体代表の外大生と外大職員)によって、各裏方賞や役者賞、さらには劇団賞が決められる。そもそも、内容に関する指定や明確な誰が見ても納得できる審査基準の公開もままならないのに、文化のまったく異なる4言語で芝居をして、さらに言語の専門家でも演劇の専門家でもない審査員が審査して順位がつくというのはどういうことなのだろうか。

語劇という文化活動は、特殊な特性を持つと思う。「外国語」は自分の世界を広げるためのツールだが、「演劇」は主に自分以外の人の世界を広げるためのものだと思っている。 「外国語」と「演劇」と「競争」という性質の異なる三つをかけあわせていること、これが難しい。

たとえば、中国学科の中で縦割りで複数の中国語劇団を作り、それぞれ完成度や語学レベルを競い合うことは可能だ。たとえば、神戸大学自由劇場のように年に数回すべて自分たちだけの力で自分の大学や劇場を利用して演劇を行うことも可能だ。たとえば、大学演劇コンペのようにテーマや時間などのある条件があって競い合うことももちろん可能である。

神戸市外国語大学の語劇祭の難しさは、たくさんの要素が複雑に盛り込まれているところにある。「外国語で」「学外の施設を借りて」「複数の劇団で語劇祭というイベントを作る」。このことがどれほど難しいことか。異なる言語異なる文化で競い合うから、採点基準が難しい。(少なくとも言語の正確性では4言語がすべて平等に話せる人がいない限り誰もはかることができない)学外の施設を借りるから、お金がかかる。お金がかかるからチケットを有料にせざるを得ず、著作権の問題や広告収入に頭を悩ませなければいけない。複数の劇団が参加するから、座席が多くはないKAVCという舞台でたった一回しか公演ができず、毎年チケットを買えず泣く泣く観劇を断念する人が出てくる。

おかしい。どうしたらもっと多くの人に、中国語の楽しさや私たちが四ヶ月汗と涙を流しながらつくりあげるこの劇を見てもらえるのか。

70周年を向かえ「行動する国際人」をモットーにしている外大は、外国語の単科大学として語劇祭というイベントも推している(らしい)。しかしそのわりには、語劇祭実行委員会の会場確保など血のにじむような裏での尽力や、たった一回のKAVCという設備の整った舞台で公演をするために、何回も何回も外大の設備の整っていない小ホールでの練習においてKAVCとの違いをまざまざと見せ付けられる演出や監督の苦悩をまったく汲み取ろうとはしない。小ホールの設備がもっとよくなれば、と思うこともある。

われわれはなんのために毎年あらゆるものを捨て去ってまで語劇をやっているのか。

中国語劇団という劇団は、五つの劇団の中でも少し変わっていると思う。そもそも中国という国が他の言語を使用している国に比べて距離も文化も近いため、毎年お客さんの中には多くのネイティブがいる。伝統の長い劇団であり、OBOGの方々もはるばる全国各地からご指導に来てくださったり、本番を楽しみにして毎年見に来てくださっている。先生方のご支援も他劇団に比べると本当に充実していて、毎年先生方のありがたみをひしひしと感じている。

私たちは誰に向けて語劇をしているんだろう。誰に何を伝えたいんだろう。

私は中国語もお芝居も大好きなので、中国語で演劇をする中国語劇団が大好きだ。 これは極論だが、時期をずらして中国語劇団だけでKAVCを借りて3回くらい公演したらいいと思う。そして大阪大学の中国語劇団のように大陸や台湾で出張公演をしたらいいと思う。そのくらい私たちの劇団は誇っていけるものだと思う。そのことが、語学レベルの衰退がささやかれている神戸市外大中国学科の復興にもつながるのではないか、と思う。

語劇祭に関してはこのくらいにしておきます。駄文をここまで読んでいただきありがとうございました。

三年間中国語劇で学んだことを計り知れないほどあります。 最後になりますが、日本語訳校正や台本選び、発音指導、たくさんの差し入れなど毎年きめ細やかなご支援をしてくださる外大中国学科の先生方、語劇への愛を今日まで語り継いでくださった偉大なOBOGの皆様、見にきてくださったみなさま、広告掲載を快諾してくださった広告主さま、人数不足の中語劇祭を成功させるため奔走していただいた語劇祭実行委員会のみなさん、今年一緒に語劇をつくりあげた27人の劇団員のみんなには、どれほど感謝しても感謝しつくせません。本当に、本当にありがとうございました。